突然の仕事依頼。
「錆た鉄板で看板の切り文字、出来ないかな???」 と電話がありました。
「良い風合いまではなっていないけど、やっと錆始めたような板ならあります。。。」と。
工房の外に置いて、ちょうど1年たった板。
鉄の表面を覆っている、クロカワがはがれ、何となく全体が赤茶色に。
今回は、有名な会社の看板なので、私がプラズマという機械で抜いた味わいのある文字ではなく、レーザー加工機で抜いたきっちりとした文字仕様。
レーザー加工の機械は、精密機器なので、こんなに錆びた板をカットしてもらえるかな~無理だろうな~、断られるよな~と、弱気でした。
とりあえず、人に聞いたり、タウンページで調べては、電話。
工房から近い工場の社長さんが、話を聞いてくださり、「持ってきて見てからでないとなぁ」 と言って頂き、すぐに板を軽トラに積み行きました。(工房から10分)
飛び込みの面倒な仕事にもかかわらず、対応して下さり、「こんなに錆ていたらな・・・」 と引いた顔をされましたが、社員のかたと話しながら、錆びた板のまま、機械にセットしてくれました。
社長さん、スタッフの方々、本当にありがとうございました。
地元で、良い出会いをさせてもらい、感謝です。
早速、切り抜いてもらった文字に留め金具を溶接して、再び錆らせます。霧吹きで水をかけ均一に錆させます。
次に、この赤錆を黒錆びにします。
お茶を煮出した液を使います。 この仕上げは、先輩から教えて頂きました。
“タンニン” の成分が赤錆と反応して黒くなります。
左側の赤錆の板が、黒色に反応しています。
体に害のない材料を使って、化学反応させることは、すごい。
薬品で科学反応させるモノとは違って、優しい表情になっているように感じます。
今回、ネットで 「黒錆び」 と調べると、2つの薬品が出てきました。
両方とも簡単に手に入るのですが、一つには、「発がん性部質を含む」 と口コミされていました。
鉄をいじり始めて気になることは、塗装ではシンナーを使い、錆らせるために、強酸性のものを使ったり、、、
体に悪いモノを使っていること。
なるべく使いたくないですよね。命と引き替えに働いているよう。
長く続けるためにも、体に良くないものは減らしていきたい。
最後に蜜鑞を塗って完成。
一週間と短い納期でしたが、なんとか間に合い、ホッとしました。
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